「自分の作品が主役にならないように。お客さまに使ってもらって初めて自分の作品が完成する。器ですから、料理を盛り付けて完成すること、そして手に馴染みの良さが大切です。」
という永木さんのお言葉に、私たちFOOD FOR THOUGHT(フードフォーソート)は心を打たれました。
氏曰く、「手仕事の跡、手の跡は少しで良い。そういう跡を沢山残している人は沢山いるから、自分は極力引き算の考え方で作っている。足し算よりの引き算をベースに、自分を出しすぎないように。。」
以前はガラスのオブジェのみを作っていらした永木さん。松本で参加した食のイベントの時に器を頼まれて、使った人がとても喜んでくれたそうです。「作品が人に使われてつながる〜そして喜んでもらえること」を体験し、自分にとっても大きな喜びを感じたそう。そこから氏の作品は器へとシフトしていきました。
謙虚な言葉の通り、静かな作品たちですが、塊の状態でみると非常にスタイリッシュで雄弁なのが永木さんの作品。しっかりと修行を積んだ経験値と自信がはっきりと見て取れます。コンポートの平滑性やレベリングの良さ、ドームの美しい膨らみ、そしてジャムポットなどの小さなアイテムの可愛らしさも秀逸です。
個性を廃したように見えてしっかりと個性が宿る、そんな佇まいの良い永木卓さんのガラス達。ぜひこれからご注目ください。
永木 卓 えいき たく 略歴:
1979 神奈川県藤沢市生まれ
2002 東京ガラス工芸研究所総合基礎科終了
2006 多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム卒業
2007~2012 あづみ野ガラス工房 在籍
2012〜2016 多摩美術大学美術学部工芸学科ガラスプログラム助手
2017 松本市にガラス工房「リトグラス」を開く
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